腕の中でうつらうつらと瞬きを繰り返す、サクラの頬を撫でれば欠伸を一つ。
少し大きめな我愛羅のシャツを着たサクラが、我愛羅の胸元にトスンと額を当てる。
サクラの艶やかな、撫子色をした髪で遊んでいると名前を呼ばれたので我愛羅はなんだ? と反応する。
「今まで付き合ってきた女の子大変だったと思うんだけど」
「は?」
ううーん、と眉を顰め考えるサクラに、突然何を言っているのかわからず我愛はどういうことだと聞き返す。
「だってさ……意外とほら、性欲と言うか、なんというか……激しいじゃない?」
顔を真っ赤にしながら、聞き難そうにもごもごと口篭るサクラに、思わず口元をヒクリと動かす。
「何を言っているんだ、お前は」
「ぎゃあ!」
サクラの頭をガシリと掴み、こめかみに青筋を入れる我愛羅に「だって!」とサクラは声を上げる。
「私だって体力はあるほうよ、でも我愛羅くんの体力についていけないことが多々あるのよ!」
頭を掴まれているサクラは、我愛羅の腕を掴んで鼻息を荒くする。
「……オレはお前以外付き合ったことも無いんだが」
我愛羅の言葉に、はたりと目を見開き遠慮がちに我愛羅を見上げた。
「……まさか、どうて、」
「違う」
あらぬ疑いを掛けられ、思わずサクラの頬をぐにりと掴む。
「そっかー、そうよね……私は初めてだったけど」
納得した後に、ぽつりと呟くサクラに我愛羅は胸の奥がキュンっと音を立てたのを理解する。
「なんだ、嫉妬か」
「ばっ! 違うわよ!」
馬鹿じゃないの! 声をあげ、暴れるサクラに、まあ落ち着け。とサクラの頭を優しく撫でた。
「最初はやれんが、お前に最後はやろう」
サクラの頭をぐしゃりと撫で、少し広い額に唇を落とす。
布団の中、暴れていたサクラはうぐぐと声をあげ、大人しく我愛羅の唇を甘受する。
「よくもそう恥ずかしい台詞を……」
「そうか? だがお前の最初も最後もオレのものだからな」
さわりとサクラの細い腰に手を当て、ゆっくりと撫でる。
その手をピシャリと叩き、馬鹿じゃないの! 本当に馬鹿じゃないの!? と声を荒げ我愛羅の胸元に頭突きをした。
「……痛いんだが」
「痛いのは愛情よ」
「そうか」
「そうよ」
ぐりぐりと頭を押し付けるサクラに、笑うしかなかった。
2015.我サク独り祭り
012.疑わしきは