長編二部 9話の二ページ目と三ページ目の間の話。



 薄暗い満月の明かりだけが入る部屋。
その明かりがサクラの濡れた瞳をキラキラと輝かせる。

「優しくしてね」

 サクラのその言葉に、重ね合わせていたてのひらを解き我愛羅は思わず目を伏せた。

(優しくできないかもしれない……)

 我愛羅の心のうちなど知らぬサクラはただ、ただ頬を真っ赤に染めるだけだった。



秘密の話



 かさついた親指で白く弾力のある頬を撫でればビクリと震える肩。
ベットの上に座ったサクラは恥かしさのあまり瞼をゆっくりと閉じた。
我愛羅はサクラの頬ふにふにと撫でながら、サクラの頬が燃えるほど熱い事に少なからず恥かしさを覚える。

 頬を撫でていた親指を滑らせ、サクラの耳朶に触れれば、
下ろしていた瞼が震え、ほんの少しばかり眉間に皺を寄せる。
震える瞼に唇を落とせば、サクラが小さく声を漏らした。

「ん……」

 その感覚に慣れないのか少し身じろぎ瞼を持ち上げたサクラの瞳がゆらゆらゆれ
我愛羅は、綺麗だ。食べてしまいたいと内心思う。
 サクラの前髪を掻き揚げ、少し広い額と目尻に唇を落とし鼻先にも軽く唇を落とす。
真っ赤な舌を出して大人しくされるがままのサクラの柔らかい唇を、我愛羅はぺろりと舐めた。

「……ぁ」
 驚いて目を見開き少し開いたサクラの唇。
開いたその隙間から我愛羅はぬるりと舌を入れてサクラの柔らかい唇に噛み付いた。

「ふぅ……ん、ぅ……ん」
 鼻から抜ける息と間から漏れるサクラの篭った声。
ぴちゃり、と聞こえる音にサクラがギュッと目を瞑れば、サクラの頬に手を当てていた我愛羅の右手が首筋を撫で、
鎖骨に触れ、服の上からカサリと音を立てサクラの左胸に手を置いた。

 ビクリと震え逃げようとするサクラの腰を左手で引き寄せ、服の上からやわやわとサクラの胸を軽く揉む。

「が、があ、……らくん」
 やっと唇が開放され大きく息を吸うサクラだが我愛羅の手が胸を触り、裾の間から入り込んだ掌はサクラ脇腹に触れ、背中をつーっと撫でていく。
いや、とか細く漏らすサクラの言葉を飲み込むように、軽く唇に口づけをし我愛羅は片手でブラのホックをパチンと外した。

「うわっ!」

 突然服の中で緩くなったブラジャーにサクラは驚き声を出す。
少しだけ目を細め、ホックを外した左手でサクラの背中を撫で服の中で露になった左の胸に直接触れた。

「ぁ、ちょっとまって……」
 不安そうな表情を見せ我愛羅の左腕を軽く掴めばもう一度、唇が軽く重なる。
思いの外大きな我愛羅の掌。
胸の敏感な所を我愛羅の親指が緩やかに撫でた。

「っ、」
 強い刺激ではないが甘く快楽へと脳を痺らす刺激にサクラは小さく息を漏らす。
我愛羅が何度か摩ればサクラの瞳が涙で濡れた。

「サクラ」

 今まで聞いた事も無い至極優しい声色。
心臓が今までにないほどドクリドクリと音を立てるのにサクラは恥かしくなり視線を落とすしかなかった。





「はっぁ……んんぅ……」
 柔らかいシーツに寝転ばされ、上着もブラジャーも剥ぎ取られ露になった胸を揉まれ、
我愛羅の真っ赤な舌がサクラの大きくない胸をべろりと這う。
敏感な箇所を舐められ、甘噛みされサクラはシーツを引き寄せ顔を隠すように埋めた。

 恥かしがるサクラを他所に谷間に唇を落とし、そろりと右手で太股と撫でる。
手が太股を撫でる感覚にサクラは腰がビクリと震える。
 ゆっくりと時間を掛け体を優しく撫でる我愛羅の手にサクラはもぞりと足を擦り合わせた。

「どうした」
 面白がるような我愛羅の声。
なんでもない! と強気で言うサクラに笑った我愛羅は、そうか。と呟いてサクラのスパッツに手を掛ける。
するりと剥ぎ取られるスパッツにサクラは焦り、待って、待って! とシーツから顔を出した。

「やっと見たな」
「えぇ……」

 頑なに視線を逸らしていたサクラは我愛羅と視線がぶつかり心臓がドクリと音を立てる。
噛むようにサクラの唇に重ね合わせ、ほんの少し湿っていたサクラの下着の上から指で撫でた。

「ああ……!」

 初めて触れられるビリビリとした感覚に思わず目を見開きサクラは背を逸らす。
下着の上から我愛羅の手が上下に優しく摩り、撫でればサクラの身体の奥から快楽に応える様に愛液がじわじわと下着を濡らした。

「ん、ぁあ、あぁ……っ!」

 下着の隙間から我愛羅の熱い指がサクラの秘所に直に触れる。
「ぁぁっ」
 小さく声を漏らし、足を閉じようとするサクラの下着に指を掛け脱がしてしまう。

「ま、待って、我愛羅く、ぅ……んんん!」
 サクラが待ってくれと言い終わる前に愛液で濡れている秘所にぐちゅりと指を入れてた。
鼻から抜けるサクラの上ずった声。
我愛羅は下唇を無意識に舐め、シーツを掴み快楽に負けぬように歯を食いしばるサクラを眺める。

 我愛羅が指を緩やかに動かせばぐちゅぐちゅと音が室内に響く。
サクラの身体は与えられた刺激に「はっ、はぁ」と呼吸を乱し耐えるしかなかった。

「サクラ、大丈夫か?」
 汗を掻き、額に貼り付いたサクラの髪を我愛羅は指で撫で耳に掛ける。
我愛羅の吐息にサクラの膣内がきゅっと動き、揺るかかに刺激をしていた我愛羅の指を締め付けた。

「ぅ、ん……大丈夫、あぁ、ん……」
 コクコクと頷くサクラにそうか。と言い膣内にもう一本指を進入させる。
更に濡れるサクラの秘所が我愛羅の指を愛液で濡らす。
膣内に進入させた指がサクラいい所を探すように動き、存在を主張していた濡れた突起を軽く抓んだ。

「ひっ……!!」

 その刺激が背中を走り脳内を痺れせる。

「ぁぁあああ……!!」
 膣内に進入した指がいい所を攻め、ぷっくりと主張した突起を遊ばれサクラは
愛液を溢れさせながら、ただ喘ぐしかなかった。

「んんん、ん、ああ……! だめぇ……!!」
 ぎゅううと我愛羅の指を締め付け、果てたサクラは霞んだ瞳でぼんやりと天井を見つめる。
ふぅふぅ、と呼吸を整えようとするサクラとは裏腹に、大きく溜息を吐いた我愛羅は一度瞬きをした。
 首元を緩め、羽織っているだけの上着を投げ捨て、サクラの膝裏を掴んで遠慮無くがばりと広げた。

「いやぁ……」
 もう無理よ。とサクラが濡れた瞳で我愛羅を視界に捕らえ首を振るが、それはないだろう。と言葉を返しサクラの腰を引き寄せた。

 燃えるほど熱く主張する我愛羅の存在にサクラは思わず目を見張る。
ぬるぬると入り口を軽く出入りする感覚にシーツを掴みサクラは目を閉じた。

「いくぞ、」
 我愛羅の熱の篭った声。
コクコクと頷くサクラを確認し、我愛羅はずるりと一気にサクラの中に進入した。

「あああ!!」
 身体を貫くような衝撃。
思わず目を見開き声をあげ、我愛羅自身を締め付ける。
ボロリとついに涙を零したサクラの目尻に口を寄せ舐め取れば、サクラの翡翠の瞳が我愛羅を見た。

「があらくん、が、あらくん……!」
 腕を伸ばし我愛羅にしがみ付くサクラに、我愛羅は口の端を上げ笑う。

「サクラっ……!」

 ぐんっ! と奥を突くように根本まで挿入すればサクラのいい所を霞め言葉も無く背を逸らす。
ゆっくりと腰を引けば我愛羅にしがみ付いていたサクラの手に力が入る。
ぬるぬると抜き差しされる我愛羅自身にサクラは快楽に溺れ、ただ声を上げた。

「あああ、だめ……! ふぅ、んん……そこいやっ!!」
 熱い存在が一点を擦ればサクラは仰け反り我愛羅から逃げようと足に力を入れるが
我愛羅にぐいっと腰を捕まれ引き戻されてしまう。


ギシギシと音を立てるベットに、身体がぶつかる音。
汗と交わる息遣い。
互いに求め合えば後はただ、快楽に溺れる二人しかいなかった。


「ぁぁあああ!! だめぇ、あああ……!!」
「っ…!」

 ぎゅううと一際サクラの膣内が痙攣を起こせば、我愛羅はサクラの子宮に精子を吐き出した。

「ぁ……中に、」
 自らの体内で熱く弾けた感覚に身震いした。

「サクラ」
 隣で寝転ぶ我愛羅に労わるように体を引き寄せられれば、優しく頭を撫でられる。
ゆるゆると視線を上げれば思った以上に嬉しそうな顔をしてた我愛羅にサクラは瞬きをした。

 気恥ずかしくなり、ぽすりと我愛羅の胸に頭を寄せれば聞こえる心音。
頭を撫でる我愛羅の手が思った以上に心地良くてサクラはゆっくりと意識を手放した。


「思った以上にまずいな」
 深みにはまりそうだ。そう思いながらサクラの頭に顔を埋め我愛羅も意識を緩やかに手放した。


 穏やかに輝く月の明かりだけが知っている。