我サク一家設定ですが子供達は出てきません。
ただ、三十路ならぬ四十路な夫婦。欲求不満な風影様です。
残念ながらEROはないです!
久方ぶりの休暇。
優に三人ほど座れそうなソファの肘掛に肘を乗せ頬杖を付き、くぁと欠伸をした我愛羅は先ほどから鼻歌交じりに行ったりきたりしている人物をぼんやりと眺めている。
一体何がそんなに楽しいのか。
にこやかに微笑みながら洗濯物を取り込み新しい洗濯物を干していた、妻であるサクラをぼんやりと眺めていた。
ふと、後姿を見ていて思う。
随分と髪が伸びたな。
さらりと流れる薄紅色の髪は陽の光に反射して眩しかった。
少しだけ目を細めて観察するように見ていれば、我愛羅の視線に気が付いたのか、くるりと振り返りサクラの瞳とかち合った。
「どうしたの?」
丁度全ての洗濯物を干し終わったのか、ぱたりぱたりとスリッパの音を立てながら近づいてくるサクラに、
「髪が伸びたな」と言えばサクラは自分の髪を触りながら首を少し傾げて「そう?」と薄く笑う。
ソファに座ったままの我愛羅が手招きするとサクラはソファの前に立った。
目の前の細い腰を片腕でギュッと抱き寄せると「わっ!」と驚いたサクラの声に、我愛羅は小さく笑う。
「少し、鈍ったんじゃないのか?」
「もー……多少は仕方ないでしょ。どれだけ任務に出てないと思ってるのよ」
ムッとした声色になるサクラに我愛羅は「すまん、すまん」と言いながら膝の上に乗せたサクラの顔を、
見上げるように覗き込んだ。
さらりと流れる髪の毛に、色素の薄い唇。
初々しい果実は随分と熟し、甘い香りで我愛羅の鼻を擽り誘う。
仕事が忙しく子育てに追われ、コレでもかと言うほど泣きたくなるような幸せな日々に満足はしていた。
ある一点を除いては不満は無かった。
サクラの肩口に鼻を寄せ、くらくらするような甘い香りを肺に吸い込めばここ数年、
随分と大人しかった獣が顔を覗かせる。
「サクラ」
いつもよりほんの少し低い声色。
その声にビクリと肩を震わせて、え。と呟いたサクラが我愛羅の目を見て「いやいや!」と首を振った。
「ない! ない!! 歳考えてよ!」
「まだ大丈夫だろう」
「大丈夫くない!!」
するりと服の合わせ目から手を忍ばせる我愛羅の大きな掌を思わず掴み、サクラは唇をヒクリと歪ませた。
「無理だって……!」
「そこは俺がカバーすればいいだろう」
未だ現役で前衛にも出る我愛羅と違い前衛から退きもう数年。年齢だとか体力だとかを考えてほしい。
我愛羅のとんでも発言にサクラはヒイィィと叫ぶしかなかった。
攻防
2014.07.04