極稀に取れた非番。
 昨夜遅くまで、というより朝方まで書類整理をしていた為、目を覚ませば時計は昼近くを示していた。
 此処最近、思いも寄らないほど長く寝れている事に安心を覚えると同時に、少しの寂しさも心の中に積もっていく。

 寝起きの顔を洗って、髪を整えリビングに向かう。
 パタリパタリと廊下を歩き、リビングの入り口から中を覗くとソファに座りテレビを見ていた薄紅色の頭を見つけた。
「ん、我愛羅君おはよう」
「ああ、おはよう」
 サクラの横に座り、テレビを観ているにも関わらず腰に腕を回し遠慮なく引き寄れば、
少しだけ伸びた髪の毛がサラリと流れ、我愛羅の鼻先を掠める。
 それに少しだけ、我愛羅はほんの少し目を細めた。

 背後から腰に手を回され身動きが取れないで居るサクラ。
 逃げようと試みるサクラを逃すまいと更に腕に力を入れ抱きかかえた。
「我愛羅君、ちょっと……」
 我愛羅の切りそろえられた髪の毛がサクラの頬を撫でる。
 肩に顔を埋める我愛羅にサクラは、仕方ないなあ。と呟いた。



「奴等は何処にいった」
「んー、アカデミーの子達と遊ぶって張り切って出て行ったわよ」
「……そうか」
「なーに、寂しかったの? まあ、そうよね。あの子達が起きてる時間に中々帰ってこれないからねー」
「いや、違う」
 実際には半分あたりで半分不正解だ。
 自分の血を分けた子供二人が居ない事は少なからず寂しさを覚えたが今日の夜にでもまた会える。

「久々に二人きりだな」
 その言葉は、まるで自分に言い聞かせるかの如く。
「え、そうね。最近は忙しかったから落ち着けるいい日じゃない」
 我愛羅の燻る気持ちなど露知らず。
 サクラは最近の我愛羅の忙しさを労わるように微笑んだ。
 その笑みに我愛羅は薄く笑い返し、サクラの横腹を撫でた。

「三人目つくるか」

 我愛羅の言葉に返事を返すまもなく服の中に手を入れられ、サクラは思わず絶叫した。



 愛おしいと思うから触れたくなる。
 大切だと思うから、里を護り家族を護る。
 多分、お前に会わなければこんな感情持たずに生きたのだろうな。
 だからこそ、護っていこうときめたのだ。





拝借 空飛ぶ青い何か。
たとえ何があっても守ると決めたんだ

26.1.19