よく、笑うようになった。
一時期暗い陰を落としていた私の親友は、その想いを大切に大切に胸に秘めていたことを知っている。


 叶わなかった初恋はどうやら消化できたらしい。



「どうした、いの」
 ピタリと立ち止まったいのに気がつき声をかけたのは、奈良シカマル。
幼馴染で同じ班員である少女こと、山中いのの視線の先には少女の親友で髪色が印象的な少女の姿と
最近よく目にするようになった同盟国の忍の姿があった。

「ありゃぁ、砂の奴等じゃねぇか」
 火影塔の前で、いのの親友であり現火影の弟子である春野サクラが、
笑いながら砂の忍に話しているのを見るのはもう何度目になることか。

「サクラも大変だね。火影様から言いつけられてるんだよね?
三人が木の葉にいる間の接待係り」
 もう一人の幼馴染の秋道チョウジが相も変わらずお菓子口にしながら言う。

「うん。でもいい機会だと思うわ。サスケ君もナルトも居なくなって少し塞ぎがちだったのを
火影様が気にしてくれたのよ。取り憑かれたように修行に明け暮れてたからね」

 うん、少し元気になったみたい。
 
 安堵の表情を見せるいのに、ふーんと呟くシカマルはいのに向けていた視線をサクラたちに向ける。
 砂のテマリとカンクロウが歩くのをサクラと、時期風影候補の我愛羅が続くように歩いていく。

 ふと、柔らかく笑うサクラ。
 面を付けたかのごとく表情を変えない我愛羅が、少しだけ笑ったように見えた。

「おい、あれって……」
 シカマルの言葉を遮ったいの。
「はいはい、さっさと任務の報告に行くわよ! ほら、チョウジも!」
 シカマルとチョウジの腕を引いて火影塔に足を進める。

 歩いていくサクラ達の後姿。
 我愛羅とひそひそ話をするように口元に手を当て、少し背伸びをしているサクラと
話を聞くために少し首を傾けた我愛羅の後姿にいのは唇をにこりと上げた。


 もう少し日が経てば、きっと話してくれるだろう。
 大切な大切なその想いは、まだ彼女の中では秘密にしておきたいのだろう。




拝借確かに恋だった
それは甘い20題 09.内緒話 H25.6.30〜拍手掲載