我サク+新旧7班


 ドオォォオン


 平和な木の葉の里に響く爆音。
戦争の爪痕がまだまだ残る中、火影塔から上がる白煙に里の者達は呆然と見ていた。

「な、なに一体」
「敵襲か……?」
 明日の任務について、店番をしていた、いのを訪ねたシカマル。
いのは両手に百合の花を持ったまま思わず店の外に出る。

「いの、シカマル」
「チョウジ!」
 両手で紙袋を持ち現れたチョウジにいのとシカマルは驚いた表情を見せた。

「今火影塔に近づかないほうがいいよ。巻き込まれちゃうからね」
「え、一体何があってんのよ」
「オイ! あれ……!」
 チョウジに問ういのの言葉を遮ったのはシカマル。
 その声に火影塔に視線を向け、目を擦れば顔馴染みの姿があった。


「いやあぁぁぁ!!!」
「ちょ……サクラちゃん暴れないで! サスケー、そっちは任せたってばよ!!」

 サクラを抱え白煙に向かって何事かを叫ぶのは里の英雄で木の葉で知らぬものは居ないナルト。
 そしてまるで米俵のようにナルトの肩に担がれているのは五代目火影である綱手の愛弟子サクラ。
 ナルトが白煙から抜け出し火影塔の近くにある屋根に足我ついた瞬間、
白煙の中から現れたのは大量の砂。
 その砂は意思を持ちナルトを追いかけているように見受けられる。

 砂がナルトを捕らえるかと思えば、砂がバン! と爆発した。
 ズズズと砂の中から現れるその物体に呆然と見ていた、いのとシカマルは絶句する。

「ナルト、ヘマをするなよ」
「分かってるってばよ!」
「ちょ、ちょっとー! サスケ君、それってー!!」

 禍々しい風貌のその物体。
サスケが里抜けをした時に会得した、スサノオだ。


「それと合間見えるのは2度目だな」
 両腕を組み大量の砂に乗って白煙から姿を現したのは、同盟国である砂の里の
若き風影、我愛羅の姿。

 ザワザワと動く砂が視界を悪くする。
我愛羅は目前のサスケを睨んでいるようだ。


「いい機会だ。ここで決着をつけようぜ」
「いいだろう。何れ決着をつけねばならぬと思っていた」

 不適に笑う二人。
火影塔の真横で浮いたり、砂に乗ったりしている光景だったが、
空は青く澄み渡っていた。


「お前達、いい加減にせんか!!」
「綱手様、どうしましょう……」

 ボッカリと穴が開いてしまった火影の部屋。
綱手とシズネは溜息を吐くしかなかった。


「人の嫁に手を出す事の罪を知れ!」
「まだ結婚してねーだろうが!」
 我愛羅の叫びにサスケが応戦する。

 火影塔の周りにどんどん砂が積もっていく。

「キャー!! 我愛羅君とサスケ君が!! ちょっとナルト、いい加減降ろしなさいよ!!」
 未だナルトに担がれているサクラは少しは離れた火影塔で起こっている光景に叫んだ。
「駄目だってばよ! 今行くと危ないってば!」
「なーに言ってんのよ!! そもそもの原因は、ナルト、アンタが……!!」

「ナルト、サクラを解放してもらおうか」
「サイ!」
 チャクラによって自ら描いた鳥を具現化し、その鳥に乗るサイはにこりと笑っていた。

「サイ、お前も我愛羅の味方をするのかよ」
 くっと呟くナルトの表情は真剣だった。

「味方も何も、ここで風影様に嫁がないとサクラは後がないでしょう?
ガサツでブスのサクラをもらってくれるなんて、そんな奇特な人他に居ませんよ」
「何ですって!!」
 サイの言葉にキー!! と暴れるサクラ。
「サクラちゃん大丈夫だってばよ! ガサツで貧乳で男運がなくても嫁の貰い手はあるってばよ!」

「ナルト!!! アンタねぇー!!!!」
「いってー!!! サクラちゃーん、酷いってばよ」
 ナルトの後頭部をチャクラを込めた肘でガツリと思わず殴りつけたサクラ。
その攻撃に頭を抑え悶絶するナルト。
 屋根の上に無造作に落とされたサクラも尻餅をつく。

「いったーい」
「まったく、相変わらず鈍いね。サクラは」
 お尻を押さえるサクラに溜息を吐いたサイ。

「うっさいわねー、そんな私でも我愛羅君は良いって言ってくれたのよ!」
「どうせ猫被ってたんでしょう。可哀想だね風影様も」
「サイ! 許さないわよ!」

 顔を真っ赤にしたサクラが思わず拳にチャクラを込めた。

「はーい、サクラもサイもそこまでー」
 サクラの額を押さえ殴りかかろうとしたサクラを颯爽と止めたのは元第七班の担当上忍のカカシ。

「カカシ先生!」
「もー、君達いい歳して何やってんの」

「カカシ先生!! だってサクラちゃんが……!」
 ムクリと起き上がったナルトはカカシを見る。
後頭部がまだ痛いようで擦っていた。

「んー、本当にナルトもサスケもサクラ離れしなさいよ。何時まで経ってもサクラがお嫁にいけないでしょう」
「だー!! カカシ先生までそんな事言うのかってばよ!」
 憤慨したナルトはムスリと表情を歪ませた。

「それよりねー君達。あっち見てみなさいよ。もう大惨事。どーすんの一体」
 カカシが指差した方向は砂だ煙りだ、仕舞いにはカツユ様まで口寄せされていた。


「ひいぃぃぃ、師匠怒っていらっしゃる。ああヤマト隊長まで!」
 頬に手を当て叫ぶサクラ。
 目の前の光景に飛び出すサクラ。

「あ、サクラ!」
「サクラちゃん!」

 サイとナルトの制止を振り切り屋根を伝って飛んでいく。

「我愛羅君、サスケ君、里が、里が砂だらけになっているから!」


 ダアン

 一際大きく響いた音。

 ザアアアと砂の雨が里中を覆い尽くした。


「ナルト、サスケ、サクラ、サイ、我愛羅!! 里中の掃除をお前達でして来い!!!」

 綱手の叫び声が怒涛の如く、里内に響き渡った。





「平和ねぇ」
「ああ、平和だな」
「平和だよねー」

 里内を走り回り掃除をするナルト達。
 
 それを見ていた、猪鹿蝶の三人は口を揃えて呟いた。





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