「ううーん、ダルイ……」
砂漠の暑さに耐え切れず、パタリと倒れたサクラ。
一緒に居たテマリが慌てたのはもう半刻も前のこと。
陽も沈み、穏やかな空が広がるのをベットの上からぼんやりと眺める。
医療忍者というのに自分の体調の変化に気がつかないとは情けない。
「テマリさんに迷惑かけたな……」
右の手の甲を額に乗せ、もう見慣れてしまった天井を見つめながらサクラはポツリと呟いた。
「テマリだけじゃない」
独り言に返ってきた言葉。
ガチャリと無遠慮に開けられた扉から現れたのはいつもと同じ無表情な顔なのに
どこか怒っている雰囲気だった。
「が、我愛羅君……」
上半身を起こせば、「まだ寝ていろ」といわれペチンと額を叩かれた。
「いたーい」
叩かれた額を押さえながらベットに横になる。
「……まったく、お前は無理をしすぎる。倒れたと聞くこっちの身にもなってくれ」
「ご、ごめんなさい」
布団を顎まで引き上げ、我愛羅の機嫌を伺うように覗き見る。
すっと、伸びる我愛羅の手がサクラの頬に触れる。
ひやりと冷たい我愛羅の掌が心地良く、瞼をゆっくりと下げる。
「俺は医学の事はよく分からない。だからあまり無理をしてくれるな」
どこか心配そうに見下ろしてくる我愛羅にサクラは申し訳ないと思った。
「ごめんなさい」
もう一度謝れば、額と頬に唇が落とされる。
「まだ寝ていろ」
優しい声色。
サクラの心を落ち着かせる声はサクラを夢の世界へと誘う。
我愛羅は安堵の溜息を吐き、眠ったサクラの髪の毛を梳く。
人の心配よりもまずは自分のことを気遣ってくれと心の中で強く思った。
サクラが砂に嫁いで、数週間後の話。
Blog掲載8.23