さくさくさく。
目の前を歩く人物の数歩後をただ着いて行く。
広大な砂の台地については消える足跡。
縮まらないこの距離がもどかしくて、ただ切ない。
彼の微かな表情の変化に一喜一憂している自分。
見つけた変化が嬉しくてただただ、喜んだ。
ピタリと足を止め、くるりと振り返るその人物。
眉間に少しばかりの皺を寄せていた。
「……怒ってる?」
問いかけには答えずに、少しばかり開いた距離が数歩近づく。
視線はさらさらと風に流される砂を見ていた為、視界に入ったのは彼の靴。
「ごめんなさい」
「もういい」
シュンとしょげている私。
ぐいっと右手を引かれ、思わず顔を上げた。
「ごめん」
心配かけた。彼の表情が悲しくて申し訳なかった。
言葉はなく、握られた右手に少し力が込められた。
腕を引かれ歩いていく。
照りつける太陽の中、彼の少し低い体温が心地良い。
「あまり、心配をかけるな」
「うん、ごめん」
もう何回謝っただろう。
周りが見えていなかった自分の不注意だ。
さくさくさく。
砂を歩く音だけが耳に残っていた。
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薬草か何かを発見して無計画に取りに行ったサクラ。
戻ってこないサクラを心配して探しに来た我愛羅。
何かがあってピンチだったのを我愛羅に助けられたとか。
blog掲載H25.8.30