※ちょっとイヤンな表現あり





 日が昇る前の寒い時間。
 パチリと目を開けた我愛羅。

 暗闇の中、欠伸をかみ殺し腕の中の温もりに安堵を覚える。
 月明かりに照らされる桜色の髪。
思わず顔を埋めれば、腕の中で身動ぎ離れようとした、サクラを引き寄せた。


「ぅ……ううーん」

 眉間にしわを寄せているサクラに数回瞬きをし唇を落とす。
眉間、瞼、頬と段々と下がり、ベロリと唇を舐めたところでサクラが目を開けた。

「ちょ、我愛羅くん……!」
「なんだ」

 昨夜、というより僅か数時間前まで行っていた行為をもう一度するのかと
焦ったサクラは我愛羅の腕を押し返す。

 伸ばされたサクラの腕を取り首筋に顔を沈め、真新しい痕をつける。

「んっ、もう我愛羅君! 今日はもう任務でしょう!!」
 ぐいっと力強く腕を伸ばし我愛羅をべりっと引き剥がす。

 これ以上事に及ぼうとすれば本気で怒ったサクラに半殺しにされないと悟った我愛羅は
大人しくサクラを腕の中に抱きしめるだけに止まった。


「任務で、2ヶ月ほど離れる」
「うん、知ってる」
 くすくすと笑いながら答えるサクラ。

「影の仕事はテマリに任せてる」
「うん、大丈夫よ。私も手伝うし」

 サクラの頭を撫でながら言葉を紡ぐ。

「我愛羅君」
「……なんだ」

「待ってるから、気をつけていって来てね」
「ああ、行ってくる」

 もっとサクラに触れ、もっと共に居たいと思ったがそれは帰ってきてからにしようと誓った。
今は、腕の中で花のように笑うこの温もりだけを抱きしめ、瞼を閉じた。



 こんなに近くに居るのに、君が足りない。



20.足りない




ナチュラルに裸な二人。