「特別任務ー!?」
 えー! と声を上げたのはナルト。
それに続くように面倒くさそうに返事をしたシカマル、ネジ。

「ああ、綱手様から直々の任務だよ」
 シズネに内容を聞かされ、言ったカカシも面倒くさそうに首筋を掻きながら答えた。

「でもさー、カカシ先生。この資料室の中から家紋一つを探し出すって無理じゃね?」
 木の葉にある各資料室。その中から有るかどうかも分からない家紋を探し出すのは骨が折れる。

「まあね。でも探すしかないでしょ。綱手様のご命令だ」
「ちぇー」
 薄暗い明かりしかない資料室。
現在ナルト達が居る場所は第一資料室。第二資料室や、機密事項が保管されている書庫も沢山ある。
 シカマルは近くの本棚から一冊分厚い本を取りぺらぺらと捲っていく。

「一応、暗号部のシホ達にも資料を探してもらっているが、見つかるかどうか望みは薄い」
「ただ闇雲に探すだけと言うのも効率が悪い気がするが」
 ネジの言葉に、閃いた表情をするナルトは印を結びチャクラを練った。

「多重影分身の術!!」

 術名の後に現れたのは数十人のナルト達。
「これで一気に探し出すってばよ!んでもって、サクラちゃんを迎えに行く!
「俺に任せりゃ家紋の一つや二つぐらい!」
「早く探し出してこんな任務終わらせてやるってばよ!」
 次々に好き勝手に喋りだし、わーっと駆け出すナルト達。
それをみてカカシは溜息一つ。

「ナルトー、張り切るのはいいけど見落とししないように気をつけるんだぞ」
「わかってるってばよ!」
 数十人のナルトが同時に返事をした。

「ヒナタ様やテンテンも資料探しと聞いたが?」
「あー……ヒナタとテンテン、シノにチョウジは第二資料室と図書館を当たってもらってる」
「そうか。それにしても見事に事務処理が苦手な面子が集まったな」
 資料棚にある少し埃被った書類をネジは叩き、手に取り中身を確認する。

「そうだな。こういうときにサクラが居ると随分と助かるんだがな」
「サクラか」
 シカマルの言葉に現在、砂で保護をされていると聞いた薄紅色の珍しい髪色をした女を思い出した。

「ああ、別名、歩く資料庫。知識と記憶力は半端ねぇ。多分サクラだったら資料室丸々一部屋分ぐらい頭の中に叩き込んでると思うぜ」
 はぁ、と息を吐きここに来てサクラが居た事でどれだけスムーズに仕事が捗っていたかシカマルは思い知る。

「オイ、ナルト! お前その資料全部元の場所に戻せるんだろうな!」
「え、考えて無かったってばよ……」
「大体お前は!」
「始まった!」
「ネジの説教だってばよ!」
「いっつも長いんだってばよ!」
 やんや、やんや言うナルト達に「八卦掌回天!」と叫び蹴散らした。

「元気がいいのは構わないけど散らかした資料は自分達で片付けしろよー」
 ナルトとネジの騒動には軽く注意をするぐらいでカカシは資料を読み漁っていた。

「……家紋ねぇ」
 シズネから受け取った写真を見て、もう一度確認する。
花をモチーフにした家紋はただでさえ多い。
第一、存命している一族の家紋なのかどうかも不明。

 一体何日かかるのやら。
何かいい方法が無いかシカマルは頭の中で考えを張り巡らせていた。