病院勤務。
では無く、今日は綱手の側近としてシズネと共に溜まりに溜まった書類の整理をまかされ、必要な書物を取り行く為第一資料室にサクラは居た。


「……なんでこんなにバラバラなの! もう!!」

 確かつい半年ほど前、無造作に仕舞われていた書庫の整理をしたはずだった。
項目も名前順も、バラバラに入れられている本棚を見てサクラは憤慨する。

「まるで誰かが暴れたみたいじゃないの……!」

 よく見れば大きな本棚自体が倒れた形跡があり、一体なんなのよ!と更にサクラはぷりぷりと怒っていたが知る由もなかった。
以前自分が連れ攫われた事件でここ、第一資料室でナルトが大暴れした事など。
もし、知っていればサクラはナルトに鉄拳制裁を加えていたであろう。

 腰に手を当て、はぁ。と盛大に溜息を吐き後でシズネに相談しようとサクラは考え、お目当ての書物を五冊何とか時間を掛けて探し出した。

「誰よもう! あそこで暴れた人物見つけたらただじゃおかないんだから!!」
 バシ! と音を当て資料室の扉を閉めれば中から、バラバラと本が崩れる音が聞こえた気がした。



「サクラお帰り」
「シズネ先輩聞いてくださいよ! 第一資料室なんですけど……!」

 よほど怒りが収まらなかったのかサクラはシズネの元に戻れば、開口一番に資料室の事を話し出した。
シズネは、はて? 何の事だろうかと暫し眼を閉じ考え、あ。と思い出す。

 そう言えばナルトが暴れて本棚を倒したという事を、カカシからそれとなく報告を受け居ていたのだ。
だがあの資料室の本の量は一度倒してしまえば元に戻せるはずもない。
とりあえず本棚に本を入れておいてください、と伝えたままでシズネはすっかり忘れていたのだ。

「誰かわかんないけど、とっちめてやる!」
 興奮気味に話すサクラに、もしナルトが暴れて資料室をぐちゃぐちゃにしたと言えば
確実に地面に埋められてしまうだろうと思い「誰がしたのかしらねえ……」とそれとなく言葉を濁した。



「あ、シズネ先輩。午後から書庫の整理に行っていいですか?」
「ん、ああ。そうねお任せしようかしら。溜まった書類も粗方片付いたし」

 綱手に目を通してもらう分や上役達に見せなければいけない分。
これは暗号部に、これは情報部に見せなければいけない分と二人で黙々と書類の仕分けをし、一息ついたところでサクラがシズネに問えば何事も無く快諾する。

「ありがとうございます! じゃあこの資料を返すついでにそのまま書庫整理に行ってきますね」
「お任せするわ。ありがとう」


 行ってきます! と部屋を出てくサクラを見て、まさに仕事が恋人ね。とシズネは思う。

「いい加減、あの子も浮いた話出てくればいいだけど……」

 ぽつりと呟いたシズネだが綱手を筆頭に自分も居ないものだから溜息を吐く。
このままでは医療忍者は忙しすぎて恋人も出来ない、結婚も出来ない。
等と噂が立ってしまえばそれこそ医療忍者志望者が減ってしまう。
はあぁと大きな溜息を吐きシズネは机に突っ伏した。

「まぁ、サクラの周りはねぇ……」

 サクラに手を出そうものなら目を光らす猛者が多い。
傍から見ていても過保護だと分かるがそれだけサクラが可愛いのであろう。
各言う自分も綱手もサクラに変な男が付くのはごめんだった。

 ぼんやりと考えていた中で、あ。と思い出してシズネは顔を上げる。

「しまった。サクラに言うの忘れてた。今日の夕方砂から風影たちが来るのを……」
 うーん。と考えたがまぁ、いいかと結論に至る。

 砂隠れの人間とサクラが特別仲が悪いわけでもないし。
突然サクラの前に現れても大丈夫だろう。うん、問題ない。
そう考えればそのことはもうすっかりと頭から抜けシズネは綱手の元に持っていく資料を手に持ち椅子から立ち上がった。






 一つのことに没頭していると周りが見えなくなるのは良くも悪くも昔から。
ふと意識を浮上させれば外は陽が沈み、家や店の明かりが色づいていた。
 
「あ、もうこんな時間か……」
 手に持っていた数冊の書物を本棚に直し手を叩いて、うん。と頷く。
「今日はもうこの辺にしようかな」

 備え付けられてある時計を見れば既に二十二時近く。
 今から家に帰って夕飯の仕度も面倒くさいな。
そう考えたサクラは迷うことなく、よし! 今日も飲みに行こう! と予定を組んでからの行動は早かった。