「来たか二人とも」
召集の連絡が入り、急ぎ火影塔に向かったナルトとサスケは五代目火影である綱手に向かい入れられ何事だ。と言葉を漏らした。
「なんだってばよ……それにゲジマユ達も居るし」
目元を細め、口元をへの字に曲げたナルトの目の前には、同じく綱手により緊急の召集を掛けられた、ガイ班のネジとリー。
そして、カカシとサイの姿があった。
「こんな人数で一体なにがあった」
「そーそー、うん? パックンじゃねーか」
両腕で後頭部を押さえていたナルトが目を細くして、
机の上に居る忍犬こと、パックンの存在に気がつき「久しぶりだなー」と笑いかけた。
「久しぶりだな、相変わらず間抜けな面をしておるな」
「うるせー」
ナルトの姿を見たパックンは少しだけ目尻を柔らかくし、懐かしそうに言葉を掛けた。
「パックン、ナルト。今は再会を懐かしんでいる場合じゃないよ」
そう言って、パックンの頭を撫でたのはカカシが
綱手を見やれば、綱手はコクリと頷いた。
「いいか、お前達。心して聞け」
綱手の鋭い声色に、少しばかり浮ついていたナルト達は気を引き締める。
「たった今、入ってきた情報だ。木の葉隠れの里と同盟国である、砂隠れの里が現在何者かに奇襲をされているとのことだ」
「奇襲……!?」
ざわりと走る張り詰める空気。
ぐっと拳を握り締めるナルトを一瞥し、綱手は一度瞬きをする。
「でも、何処からそんな情報が入ってきたんだ。鷹丸が来た気配は無かったぞ」
眉を顰め、疑問を口にしたサスケにネジも同意するように頷いた。
「ああ、鷹丸じゃないよ。シズネ!」
「はい!」
綱手に促され、シズネが別室から持ってきたのは小さな鳥篭。
パックン座る机の隣に、静かに置けば鳥篭の中に居た小さな鳥が「ピピ」と鳴いた。
「鳥、ですか……」
不思議に思い首を傾げるリーにサスケは「さっきの……」と声を漏らし、少しだけ目を見開いた。
そこに居た鳥は、先ほどサスケが縁側に座り空を見上げた時に懸命に飛んでいた小さな鳥の姿だった。
「先ほど、里上空で力尽きて落ちてくるところをサイが保護をしたんだ」
「警護中でね。鳥獣戯画で上空を飛んでる所に落ちてきたんだ。どうすればいいかわからなかったからひとまずシズネさんのところに連れてきたんだよ」
綱手の言葉に続いて、薄く笑うサイにサスケはほんの少しだけ目元を動かし、篭の中で元気がなく、ぐったりしている鳥に目を向けた。
「それでパックンが呼ばれたのか」
「ああ、治療もそこそこに室内を部屋の中をバタバタと飛び回って何かを訴えかけてたからね。動物の言葉がわかるパックンを呼んだほうが早いでしょ」
納得するナルトに答えたのはカカシ。
ピピ。ともう一度鳥の鳴き声が室内に響くと、綱手は篭から鳥を出し、手のひらに載せた。
薄く光るチャクラが小さな鳥の身体を優しく包み込む。
「砂隠れから正式に要請は来ていない、だが信憑性はかなり高い。先ほど数名の暗部に砂隠れ方面の様子を視察させたが、火の手が上がり煙が上がっていると聞く」
鳥篭に鳥を戻す綱手を見ていたナルトは、拳を握り締めた。
「我愛羅は……我愛羅は何やってるんだ! まさか、また……!」
数年前、一度命を落とした我愛羅が頭を過ぎりナルトは眩暈を起こしそうなる。
「ソレも含め、詳細がわからんのだ」
椅子から立ち上がり、綱手は腰に手を当てる。
ピピっと鳴いた鳥の声に、パックンがふんふんと頷き「ナルト」と名を呼んだ。
「我愛羅は無事だ里内で応戦しているらしい、だが……」
少し言い淀むパックンにカカシがどうした。と促した。
「"ピンクの髪が見当たらない"と……」
その言葉に、ナルトとサスケは背中にゾクリと寒気が走る。
「っ、サクラちゃん……!」
顔をあげ、今にも部屋を飛び出そうとするナルトに「待たんか、馬鹿者!!」と綱手の怒号が響く。
「何のためにお前を呼んだと思ってる! 状況が把握出来ない中無計画に突っ込むな!」
「だけど、バーちゃん! 今こうしている間にもサクラちゃんに何かあったら……!」
今にも、今にも泣いてしまいそうな表情を見せたナルトの首根っこを掴んで、サスケは舌打ちをする。
「ナルト! お前がアイツを、アイツ等を信じなくてどうする! そんな簡単にどうこうなる奴等じゃないだろう!!」
サスケとて心配なはずだ。
我愛羅もサクラも大切な繋がりある仲間に違いないのだから。
「……悪かったってばよ」
ぼそりと小さな声で謝罪するナルトに、サスケは無言で手を放す。
二人の様子を冷静に見ていたネジが小さく溜息を吐いて綱手に問う。
「綱手様、我々の任務はこの面子で砂隠れの応援に行くという事ですね」
「ああ、そうだ。後もう一人、いのも同行させる予定だ」
中々濃い面子だな。
内心そう考え、ネジは心の中で盛大に溜息を吐いた。
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